早朝の電話

20130324_1.jpg
→pixivで見る

人間の評価は、地位や財産で決まるのではない。
葬儀の時に涙を流す人の数で決まるのである。

誰の言葉だったかは思い出せませんが、今日はまさにその通りだと感じる日でした。

日曜日のまだ夜も明けきらぬ早朝。
その電話は鳴りました。
早朝の電話は良くない知らせの場合が多いと言います。
それは、にわかには受け入れられないような、あまりにも急で信じがたい知らせでした。

遠方で暮らしていた、ひと回り違いの従兄が急逝したという電話でした。
土曜日…12月14日の夜、突然の心筋梗塞で倒れ、懸命の救命活動の甲斐なく息を引き取ったそうです。
そろそろ人生の充実期を迎えるはずだった54歳、妻と3人の子どもと年老いた両親を遺しての旅立ちは、あまりにも急であり、そして早すぎるものでありました。

上に兄や姉が居ない僕にとっては、遠い地に住む兄のような存在でした。
真面目で、賢明で、ひとの喜ぶ姿を見るのが大好きで、そして辛抱強い人でした。
まだ幼かった僕がさんざん我が侭を言い倒しても、いつも優しく受け入れてくれる人でした。
大切にしていたであろう模型を壊したこともあります。
それでも怒ることはせず、機会をみつけては高価なおもちゃを買い与えてくれたこともあります。
既にその頃の歳を追い越しているはずなのに、僕が同じことができるかと言えば、それだけの自信はとてもありません。

大家族の末っ子だった僕の母は、自分の甥を実の弟のように可愛がっていました。
死に目には間に合わなかったので、せめて出棺には立ち会いたい。
火葬される前に、一目でいいから会いたい。
朝9時の出棺に間に合わせるべく早朝4時30分に家を出て、真っ暗な中国自動車道をひた走り、無事に出棺に間に合うことができました。

…これだけ書くと、まるで僕が親孝行な息子のように聞こえますが、実際には後部座席で道案内をしていただけです。
電灯どころか月明かりすらない漆黒の山中を、反射板と道路のペイントだけを頼りに走る恐ろしさ。
昼間でもカーブや坂の多さに定評のある中国自動車道です。
いくらハイビームにしても見える範囲は知れています。
結局、最初から最後まで父がハンドルを握り続けました。
自らの不甲斐なさを恥じるばかりです。
もし僕一人であれば、電車なりバスなりを使うのですが…言い訳にしかならないので、やめておきます。

あまりにも急な死でしたが、苦しんだ様子もなく、安らかに眠っているような姿がせめてもの救いでした。
その地での習わしで、先に火葬をしてから告別式という流れになるそうです。
式場には、たくさんの方がお見えになりました。
まだ在職中だったということもありますが、平日にも関わらず会社を休業してまで職場の方々が総出で来てくださったのですから、それだけ信頼が厚かったのだと感じました。
そして、それ以上に多くの地域の方々…決して義理とか世間体で来ているのではないことは、あちこちから聞こえてくるすすり泣きの声で、十分すぎるほど伝わってまいりました。

仕事だけでなく、集落の交わりにも積極的に参加し、地域の盛り上げ役として奮闘していたとのことです。
あまりにも多くのことにエネルギーを注ぎ込んでしまったのでしょうか。
ひとが喜ぶ姿を見るのが何よりも大好きだったと言います。
僕もそのことを知っている一人です。
今はただただ、心安らかに旅立ちの時を迎えることを切に祈ります。

告別式の後、やはり地域の習わしで親族だけが残って初七日の法事を済ませ、その後、会食の時を持ちました。
人が集まって、皆で盃を酌み交わすのが大好きな人でした。
実際、僕も昼夜問わずの"ビール漬け"を経験したことのある一人です。
ちなみに未成年の間は"西瓜漬け"だったり、とにかく皆でワイワイやるのが大好きな人でした。
なので、今日は皆でグラスを手にして「献杯」をしました。
本当はビールで献杯したいところですが、今日はノンアルコールビールで献杯です。
少しは供養ができたかなと思います。

夕方にはお開きになりましたので、再び日没後の中国自動車道を戻ってまいりました。
まだ人が活動している時間帯なので、少しは走りやすいかと思いきや、やはり山の恐ろしさは半端ではありません。
後部座席で暗闇の恐ろしさに震えながら、どうにか神戸JCTまで戻ってきました。
夜間に走ってみて初めて気付いたのですが、山陽自動車道が合流する神戸JCT以東は車道灯がきちんと整備されているのですね。
建設時期とか色々な事情があるのでしょうけど、ここまで劇的に安心感が変わるものだとは思いませんでした。
神戸JCTから延々と続く灯火に感謝しながら、夜8時頃、無事帰宅しました。

直接ハンドルを握ることはありませんでしたが、とにかく緊張し通しの一日でした。
無事に帰宅できたことを感謝しつつ、従兄の冥福と遺されたご家族の癒しと平安をお祈りします。

テーマ : メンヘル人間の日常
ジャンル : 心と身体

プロフィール

かずや(京ヤワ)

Author:かずや(京ヤワ)
河津屋京柔/かずや(京ヤワ)は、京都府下在住の東方好きなMacユーザーです。
昔は電車小僧。今は鉄道おじさん。多分この先も?
発達障害の一つ、ASD(自閉症スペクトラム)であることを知ったのは、40歳手前のことでした。
開き直るほどタフじゃないけど、生きるのが随分と楽になりました。
毎週日曜日にキリスト教会に通う程度には信心深いようです。
ちまちまとパソコンでお絵描きしたりしていますが、最近は寡作気味です。

FC2カウンター
カテゴリ
最新記事
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク