京都府条例可決と今後の課題



話の流れとは言え、本当に来てしまいました。
京都府庁に。

京都府議会2月定例会の第72号議案「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例制定の件」が、今日3月11日の本会議で採決されることになりました。
京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例…略して京都府条例は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律…略して障害者差別解消法をベースに、障害者権利条約を実現するために重要となる条例です。
この歴史的瞬間に立ち会うべく、勇気を振り絞って京都府庁までやってまいりました。

ほっとハウスから何名か有志を募って傍聴するという話もあったのですが、地元テレビ局のKBS京都で生中継されることもあり、体調等への悪影響を考慮して、ほっとハウスのテレビで生中継を視聴するという方法に落ち着きました。
結果的に僕が一人で精神障害者代表として本会議を傍聴することになりました。
実際のところ、精神障害の当事者で傍聴に訪れたのは僕一人だけみたいでしたから、嘘ではないです。
…正確には発達障害の当事者なんですけどね。(汗)

20140302_2.jpg

これだけ書くと語弊があるので、もう少し詳しい状況を書いておきます。
もともと、今度の本会議で採決まで話が進むとは予想されていなかったのです。
それほどまでに府の動きは消極的だったのです。
このままではいけないと当事者団体が積極的に働きかけた結果、年度末のギリギリになって突如として府議会の議案に上げられたのです。
あまりにも急な展開に、当事者団体が慌てたことは言うまでもありません。
既に埋まっていたスケジュールをこじ開けることで、ようやく駆けつけることができたと説明すれば、今回の状況を少しは客観的に判断することができましょうか。

府民生活・厚生常任委員会では全会一致で可決しているので、今度の本会議で可決することは確定事項でした。
なので、問題はそこではありません。
むしろ注目すべきは、採択される条例の中身の方です。

今回の条例案は下記の記事中にPDFファイルにて掲載されています。
http://9130.teacup.com/kenri_kyoto/bbs/257

今回の条例案では不十分と考えられているのは、主に次の3点です。
①合理的配慮についての具体的な規定がない。
②そのため、障害者を擁護することだけが目的のような条例になってしまっている。
③一定期間をおいた上での見直しについての規定がない。


一番致命的なのは、障害者権利条約が「障害の有無に関わらず、お互いに対等な一人の人間として、共に社会を構成していく環境を整える」ことを目的に「合理的配慮」の概念を明確に打ち出しているにも関わらず、この肝心の合理的配慮についての規定が、明確性を欠いた曖昧な記述に終わってしまっていることです。
相談業務の内容も、障害を理由とする不利益な扱いに関する内容を想定しており、一番重要であるはずの合理的配慮についての記述は、まるで思い出したかのように付け足された程度になっています。
これでは障害者に限定した支援活動に特化されてしまい、本来の「障害の有無に関わらず」という意図が完全に消えてしまうことになります。
しかも、障害者差別解消法のように実施後数年間の状況を見て内容を見直すという規定もないので、最悪の場合は、条例制定を盾に諸問題の解決を先送りされる原因ともなりかねないのです。

当事者側では、かつて障害者権利条約批准に反対したように、今回の条例制定に反対することも検討したそうです。
それでも苦渋の選択の上、議員さんに直接働きかけるロビー活動等を通して、少しでも内容のある条例に近づけるための地道かつ粘り強い活動を続けてこられました。
府下在住ゆえに参加が難しい立場だったとは言え、多くの時間と労力を費やされた当事者団体の方々には本当に頭が下がる思いです。

今回の定例会では、第1号議案から始まり全部で92の議案が提出されていました。
各委員会で可決されたものだけが本会議で採決されるのですが、それでも膨大な量です。
お恥ずかしい話ですが、実はこれまで傍聴はおろか中継さえまともに見ていなかった人です。
第72号議案に辿り着くまで、一体どれぐらいの時間がかかるのだろうかと危惧していました。
でもそれは要らぬ心配でした。
委員会で全会一致で可決された議案、意見付きで可決された議案、会派によって意見がまとまらなかった議案等、それぞれを一括で採決したので、今回の本会議も2時間程で終了となりました。

第72号議案を含む一括採決では、主要4党から、それぞれに賛成を前提とした意見が出されていました。
採決の前に、事前に申し出のあった議員が直接意見を述べる時間がありました。
そのため、これら4つの政党が第72号議案をどのように考えているのかを実際に聴くことができました。
それぞれに好みの党がありましょうから、どの党が良いと持論を述べるつもりは全くありません。
客観的に感じた印象を淡々と述べさせて頂きます。

当事者団体の思いをきちんと代弁してくれていると感じたのは共産党でした。
今度の条例案の問題点をきちんと受け止め、それをはっきりと代弁してくれました。
民主党と公明党は無難に体裁よくまとめたという印象です。
当事者団体も立てつつ、最大与党も立てつつ…という感じなのか。
凄かったのは最大与党の自民党です。
まずは条例案賛美から始まり、その上で解釈次第でどうにでもなるという含みも持たせていました。
ああ、あのトップにして…なるほどね…すごくよくわかりました(←棒読み)
良い子は、僕がどの党を支持しているかなんて推測してはいけません。
あくまでも客観的感想ですよ!

午後2時50分ぐらいでしょうか。
第72号議案…京都府条例は、他の議案と一緒に全会一致で可決されました。
京都府内における障害者にとって、歴史的な節目となる一瞬でした。
そして、新たな闘いの幕開けともなりました。
京都府条例が不十分なものであることは既に承知しています。
だから条例制定がゴールではありません。
やっと振り出しに辿り着くことができたと言えましょうか。
本当の意味での闘いは、実はこれからなのかもしれません。

僕らが目指しているのは、特定の誰かが一方的に得したり損したりする社会ではありません。
合理的配慮に基づいて、平等に機会が与えられ、同じ程度の努力で幸福を追求できることを保障してほしいのです。
障害の有無に関わらず、お互いが心地よく暮らせる社会の構築。
これが僕らの本当の目標なのですから!

     * * *

※今回の傍聴の様子が、こちらにも掲載されています。(写真つき!?)
http://9130.teacup.com/kenri_kyoto/bbs/262

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テーマ : 広汎性発達障害
ジャンル : 心と身体

プロフィール

かずや(京ヤワ)

Author:かずや(京ヤワ)
河津屋京柔/かずや(京ヤワ)は、京都府下在住の東方好きなMacユーザーです。
昔は電車小僧。今は鉄道おじさん。多分この先も?
発達障害の一つ、ASD(自閉症スペクトラム)であることを知ったのは、40歳手前のことでした。
開き直るほどタフじゃないけど、生きるのが随分と楽になりました。
毎週日曜日にキリスト教会に通う程度には信心深いようです。
ちまちまとパソコンでお絵描きしたりしていますが、最近は寡作気味です。

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