訪問看護はじめました


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もう15年になりましょうか。
初めて精神科に受診した時のことです。
診断名こそ「抑うつ」でしたが、医師は言いました。

あなたに医療は馴染まない。
あなたに必要なのは、兄貴分のような存在だ。


当時「うつは心の風邪」というキャッチコピーが流行っていました。
精神疾患は投薬で治るという宣伝が繰り返され、精神科に受診することへの「ためらい」が少しずつ解消していった時代です。
副作用の少ない新世代の向精神薬が続々と登場し、気分障害(躁うつ病など)や統合失調症などを抱える当事者の日常生活を(医師の指示通り薬を飲み続ければ)通常レベルにまで改善できるようになりました。

ところが、このキャッチコピーには大きな弊害が隠されていました。
それは「うつは必ず治る」という誤解を与えてしまったことです。
実際、僕のように原因が別にある抑うつ症状については、対処療法はできても本来の原因が別にあるので根本的な解決にはなりません。
そのことについて、医師は的確に説明していたのだと思います。

その本来の原因とは何なのか。
当時は「発達障害」という言葉があまり知られていなかったこともあり、医師は「成長の段階で必要な発達の獲得ができていないことが、社会への適合を難しくしている」と説明していました。
その言葉の意味をようやく理解できたのは、7年前に今の医師に受診して「広汎性発達障害」と診断されてからです。
発達障害とは何なのか。
それから必死に勉強を始めて、今ではなんとなく理解したつもりになっています。

そんな事情があって、向精神薬で「抑うつ」を抑えることはできても、寛解には程遠い状況です。
結局は、抑うつを引き起こすような状況を自力で一つずつ潰していくしかないのです。
発達障害に理解のある環境であれば、周囲の協力も得られましょう。
でも現実には、白杖を持てば後ろから殴られ、マタニティマークを付ければお腹に蹴りを入れられるようなご時世です。
京都府が「外見から障害があることが分からないことを表す」ヘルプマークの配布を始めたので、すぐに受け取りに行ったのですが、最初はなかなか周知が進まず、今は今で怖くて付けることができません。
悲しいかな、無理してでも健常者のふりをしている方が、安全に過ごすことができるのです。

それでも、健常者のふりを演じ続けるのには限界があります。
僕の場合、不都合があっても辛抱して飲み込んでしまうので、周囲の人から気づかれることはありません。
でも問題解決を回避し続けている限りは、ためこむものは雪だるま式に膨らんでいき、溢れそうになっている堤防に最後の一撃が加わった瞬間、大洪水を引き起こします。

過去に何度か大洪水を引き起こしては、その度に相当痛い目に遭って来たので、話を聞いてくれる人を探しては、そのことを伝える努力を続けて来ました。
その成果もあってか、最近は堤防が危険水位に達した段階で気づいてくれる人が徐々に増えて来ました。
自分でも気づかぬうちにストレスを抱え込んでいる時に、その状況を察してくれる人が身近にいることは幸いです。
一人居てくれるだけでも大助かりなのですが、人間誰しも疲れている時もあれば休みたい時もある訳で、死角を埋める意味もあって、そういう人が増えていってくれることに、とても感謝しています。

白状しますと、先月ついに大洪水を引き起こしてしまいました。
予兆を感じ取っていた病院やほっとハウスが事前に準備を進めていたこともあって、その後の展開は速かったです。
すぐにほっとハウスと病院の精神保健福祉士を中心とするチームが結成されて、今回の精神科訪問看護につなげてくださいました。
これまでは服薬とほっとハウスへの避難でしのいで来ましたが、これからは環境に対しても改善の手が加わることになりました。

健常者と呼ばれている人たちの中には、自分が相手を苦しめる原因になっていることに気づけない人が少なからず居られます。
白杖やマタニティマークを持っているというだけで無関係な人に暴力を振るう人など到底論外ですが、偏見や誤解もあって無意識のうちに相手を傷つけてしまっている人は、決して少なくありません。
こんなことを書いてる僕自身、知らずのうちにやってしまっているかもしれません。
そのことを自覚し、日々の言動に心を配ることは、とても大事なことだと思います。

先週から、週に一回、訪問看護ステーションから看護師さんに来ていただいて居ます。
看護師というと女性のイメージが強いですが、今回は男性です。
はからずも「兄貴分のような存在」を得ることができたのかもしれません。
まだまだ始まったばかりですが、朗報を書き綴ることができるような日々が訪れてくれることを願っています。

(※この記事へのコメントは、SNS上にて受け付けています。)

テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム
ジャンル : 心と身体

プロフィール

かずや(京ヤワ)

Author:かずや(京ヤワ)
河津屋京柔/かずや(京ヤワ)は、京都府下在住の東方好きなMacユーザーです。
昔は電車小僧。今は鉄道おじさん。多分この先も?
発達障害の一つ、ASD(自閉症スペクトラム)であることを知ったのは、40歳手前のことでした。
開き直るほどタフじゃないけど、生きるのが随分と楽になりました。
毎週日曜日にキリスト教会に通う程度には信心深いようです。
ちまちまとパソコンでお絵描きしたりしていますが、最近は寡作気味です。

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